妻と次女との3人で庭仕事中に、家からほど近くで大木が倒れた。風も雨もなく、何の前触れもない中、最初は木が倒れながら周囲の木の枝をメリメリと折る音がした。森の中で木の枝が揺れる様子が目に入り、直後に地響きが聞こえ、感じられた。
すぐに森に入りサラールのブッシュをかき分けて近づくと、やはり成熟したダグラスファーの倒木だ。
根元を見ると、根っこが僅かしか倒れた木についてきていない。これは見慣れた風景だ。根腐れを起こしている為、倒れた際に根が切れて土の中に残ってしまうのだ。だから木を支えられず、倒木が起こる。
地面に降りて根元を覗くと、やはりひどい根腐れだ。
根腐れを起こしたダグラスファーは、大風の時に倒れるケースが最も多いが、立ったまま枯れてくることもあるし、今回のように風も無い日に倒れることもある。今回の場合、木のトップは枝が維持されていて葉の色も普通なので、倒木前にこの木を見ただけでは根腐れを起こしていることは分からなかったかも知れない。
もう随分倒木を見てきたので、今は驚きはしない。
実際に、今回のダグラスファーの周囲では、数年間倒木が続いていて、森の中でぽっかりと開けた場所になってきている。
この空き地となった場所の倒木の全てが、一つ(一匹?)の根腐れ菌によって引き起こされていると想像される。このゆっくり活動する菌 Phellinus sulphhurascens は、数ヘクタールの大きさになることもあるそうだ。ダグラスファーだけに寄生し、地中で、一つのダグラスファーの根から別のダグラスファーの根へと広がってゆく。
昨年、家のもっと近くでもこの菌が見つかったので、家の周囲で倒れたら家に届きうる範囲の全てのダグラスファーを、アーボリストに検査してもらった(この記事)。幸い、菌の広がりはとても限定されていた。
この菌は、ずっと昔から存在するものだそうだ。今回の様に、植林されたダグラスファーの森に、ぽっかりと穴をあける。その後、他の種類の木がその場所を埋めることになりがちだ。こうして、森の木の種類の多様性を促す役割を果たすことになる。今回のはダグラスファー専門の菌だが、同じように別の木に取りつく菌もあるそうだ。多様化した森の方が、環境の変化や病気の広がりなどへの対応力が高い。
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