メープルマウンテン日記

メープルマウンテン日記

森のガーデニング、食べ物の栽培・採集やバンクーバー島での田舎生活など。

根腐れ菌 Phellinus sulphhurascens のことなど

今朝イェンズに倒してもらったダグラスファーを片づける作業を開始した。

幹は、一部はガーデンで使用する為に製材し、残りは薪にするつもりだ。枝については、今年は焼却処分を減らしたい。火事の心配さえなければ、腐らせて土に有機物補給をさせるのがベストだと思うからだ。ただ、ダグラスファーはバルサムモミに比べて朽ちるのがずっとゆっくりなので、堆肥化を待つと長いこと森に可燃物を放置することにもなる。そこで、木の生えていた家に近い部分に落とした枝については、すべて燃やすことにした。太い部分は薪としてストーブで燃やし、それ以外は外で焼却する。木の上の方に残っていた枝は、木が倒れて森の中に30メートルくらい入りこんだが、その辺りには湿地もあるから、一部は湿地の中で堆肥化のため積み上げるつもりだ。

これまで木が生えていたところが、広いオープンスペースになったので、そこを燃やす場所に使うことにした。まずは、家の近くに落とした枝を、短かめに切って、燃やす予定地の隣に積み上げ始めた。燃やす予定地そのものに大きな山を積み上げてしまうのが一般的だと思うが、私は、火を小さく保ちたいので、燃やす場所には火をスタートする分だけを小さく積み、その他は近くに大きく積み上げておいて火の中に順次投げ込むようにしている。

f:id:kinamika:20191124125800j:plain

火をスタートする為の、小さな枝の山を用意した。この秋の焼却シーズンは今月一杯で終了してしまうので、春の焼却シーズンを待つことになるかも知れない。


この作業をしながら、すぐそこの切り倒した木の断面を眺めた。

f:id:kinamika:20191124130128j:plain

キナのせいで小さな切り株に見えるが、キナは40キロ超の大型犬で、木の断面も結構大きなものだ。

 

それで、イェンズの言っていた、興味深い話を思い出した。この木は谷の方に傾いていたが、真ん中から菌により腐っていった過程で、木の外皮に近いところで谷側に幹を大きく膨張させ、谷に倒れないように抵抗した歴史が観察できる。

そのくらい、この根腐れ菌の活動とは、ゆっくりしたものだそうだ。菌は感染した後ゆっくり広がり、木の方も10年、20年といった時間の単位で、菌の活動に抵抗する。

この菌はこの地に古くから存在した種類だそうだ。数本の感染にとどまり広がらない場所もあれば、一つの菌で数ヘクタールの広がりになることも珍しくないそうだ。商業的に林業を営む人からすると、迷惑な存在であり、管理する対象だ。しかし、この菌は、自然においては、森の木の種類が単一になるのを防ぎ、多様性を確保する為の役割を果たすそうだ。ダグラスファー専門の菌もあれば、別の木に取りつく菌もあるそうだ。

 

この菌は既に周辺のダグラスファーにも感染しているかも知れないし、切り株の中のものがこれから感染する可能性もあるが、すべての進行がゆっくりだ。今後、ゆっくり、継続的に付き合ってゆくという態度が正しいようだ。