バンクーバー島に住むことを真剣に考え始めたのは、10年ほど前の夏に、ビクトリアで自転車を借りて一日あちこち見物したときだ。自転車で走ると乾いて涼しい風が体にあたり、こんなに夏の空気が気持ち良い場所があるのかと強い印象が残った。
それに対して、雨期は、住み始めた頃は苦手だった。太陽が出ることが少なく、陰鬱な気持ちになった。濡れて乾くことのない森や土にも悲しい気分にさせられた。
それが今では、雨期は一番好きな季節の一つだ。水分を含んだ冷涼な空気が気持ち良く、苔やキノコの香りも好きだ。森の下草が濡れて緑がとてもきれいだ。