メープルマウンテン日記

メープルマウンテン日記

森のガーデニング、食べ物の栽培・採集やバンクーバー島での田舎生活など。

山火事から1年以上経って

昨年は、我々のところは大変な人災、天災の年だった。メープルマウンテンの山火事は、うちが最寄りの家だった。裏の丘に上ると、足元の谷が燃えていた。「今すぐに避難してください」と言われ、家を消防隊に明け渡したときには、もうこの家に帰ってくることは無いだろうと思った。島中のあちこちからも消防隊が応援にかけつけた。避難した場所からは、ヘリコプター4台が鎮火の為に放水し続けるのを見続けた。3日目に、地上部隊だけの鎮火に移行し、お宅は大丈夫だよと言ってもらえた。これに関連しては、放火犯をうちの犬キナが発見して追いかけたり、とっさに何を車に積むか考えたり、いろんな話がある。いつか書いておきたい。

そして、12月には記録的な大嵐が訪れ、森中で、また町中でたくさんの木が倒れた。木の下敷きになり亡くなった方もいた。電線がいたるところで切断され、停電が長引いた。

 

夏の山火事のあと、私はうちの火事対策作業を始めた。大嵐がその作業の規模をさらに大きくした。冬と春は、机に向かわなければいけない時間を除き、この火事対策作業に没頭した。簡単に言うと、家から100メートル半径については、森の最大の可燃物を焼却処分したのだ。最大の可燃物とは、木の下枝、林床に落ちた枝、密に茂った燃えやすい低木やブッシュの枯れ枝などだ。

それまでは、森は自然に任せ放置するというやり方をとっていたので、一方の極から一気に反対の極に振れたわけだ。

 火事対策作業の後、うちの周辺の森は、以前とは全く違う見かけとなっている。光が森の中に差し込み、森の先まで木の間を通して見える。木と下草が一体化しておらず、中間にスペースがある。

 

そして、今年も少なくとも7本の木が林床に転がることになる。既に切り倒した6本と、今日の検査で発見された根腐れしたダグラスファーだ。去年のやり方を踏襲すると、枝はすべて焼却処分することになる。そうすべきだろうか。

ここ何日かそれを再考していた。森にとって、枯れ木は土の有機物の源だから、取り上げ続けると保水力が下がり、木が乾燥に耐えられなくなることが心配だ。可燃物は昨年ドラマチックに減らしたので、今年は森に残す処理を取り入れたい。森の中は動きやすくなったから、枝を最も有効に利用できるところへ運んで使おう。まず、枝の中で、葉の多い部分は、特に乾燥が心配な木の根元のマルチに使おう。例えば、南側のバルサムが枯れてしまい、直射日光が当たるようになってしまったレッドシーダーだ。その他の枝は、湿ったくぼ地に積んで、出来るだけ早い堆肥化を促そう。また、木の幹は、一部はファイヤーブレークの端に沿って設置しよう。ファイヤーブレーク内の下草をトーチで燃やす予定だが、ブレーク沿いに燃えにくい木の幹が設置されていれば、焼却処理がやりやすい。

f:id:kinamika:20191031145950j:plain

乾燥が心配なレッドシーダーの根元に、枝の先でマルチを施した。

f:id:kinamika:20191031150144j:plain

くぼ地に積んだ枝は、堆肥化してくれるだろう。


枝を下草の上からどけて、必要な場所へ移動してまとめて使うことは、目に見えやすい場所の森の下草を、ダメージから守ることにもつながると思う。

 

昨年は、とにかく火事の恐怖から焼却処分以外のことは考えられなかった。今有機物を利用する処理も混ぜ始めることは、火事対策を忘れることではなく、冷静に考えながらバランスを取る努力が可能になってきたということだと思う。