うちの畑で最近やっていることを書いてみる。話があちこち飛びそうだがご容赦を。
森に囲まれたうちの畑で上手くゆくこと、そして難しいことが、試行錯誤の年月を通じてやっと分かってきた。
まず、トマト、キュウリ、カボチャやインゲンなどの夏野菜の栽培は難しすぎるので止めることにした。5月を過ぎるくらいまでは畑に陽が差さないので、日陰環境が大好きなスラッグやうどんこ病菌(?)が夏到来前に大活躍し、夏野菜の苗を弱めたり消失させたりする。良質なものが外で買えるし、トマトなど物々交換で入手したりもするから、家で栽培するモチベーションがさほど上がらなかったこともある。
一年草野菜でうまくゆくのは、カブ、スイスチャードやごぼうなど、日陰環境でも問題が少ないもの。こういったのは今後も栽培を続けるつもり。
太陽だけではなくて、水も大事な考慮点だ。カナダ西海岸の乾いた夏は厳しくなる一方で、日々の水やりが欠かせない。
そんな夏の乾きが厳しい気候で頼りになるのは、例えば充実した根茎を地中に張ったり球根を形成したりして、それらを活かして雨の多い春のうちに一気に生産してくれる宿根草野菜だ。ネギ類、フキ、アスパラガスやルバーブは、早いうちに成長してくれて、夏の乾きに苦しんだとしても翌春には元気に戻って来てくれる。夏になってから収穫するような宿根草野菜も栽培している(ラベージ、ラズベリー、ルッコラ、フェンネルなど)が、これらもやっぱり結構渇きに強い植物だ。
それから、動物に食べられにくい野菜を選ぶのも大事。ストロベリーは柵を作ってもどこからか入ってくる兎に食べられてしまうが、背の高いラズベリーであれば大丈夫。そして柵の外のガーデンでは、鹿に食べられないことがすごく大事で、ネギ類、ニンニクやハーブ類なんかが中心になる。
そんなことで、今は日陰や渇きに強く、動物に食べられにくい宿根草野菜が畑のほとんどを占めるようになりつつある。そして、この選択は、実はスーパーで買えない日本の野菜を自家栽培したいという希望にも沿っているのだ。
実際に栽培しているものを見ながらもう少し説明を。
中央のアスパラガスは、うちの陽当たりでも問題無い様だ。今年からいくらか収穫を始めた。春の芽吹きの頃スラッグに要注意だ。
一年草野菜でも、ごぼう(右)は日陰にも渇きにも強く、野生化しているくらいだから、栽培しやすい。ところでごぼうはスーパーで買えない日本の野菜の一つでもある。その他に買えない野菜には太ネギ、ニラ、フキ、ヤマイモ、里芋、ミョウガ、タケノコ、レンコンなんかがあるかな。ネギ類、ニラ、フキは自家栽培している。
ところで、うちの畑、もう宿根草野菜中心でゆくと決めたから、今までもそう畑らしい景観じゃなかったけど、これからもっと鬱蒼としてゆくことになると思う。果樹も大きくなるから一層日陰も増えるしね。種蒔きをする必要がほとんどなくなるから、耕したりきれいな土肌にしておく必要があるのは限られた一年草野菜の一角だけになるかな。
鬱蒼とすると言っても、歩き道は機械で草刈りするけどね。夏の渇きが激しいカナダ西海岸に住んでいると、畑の中も外も、植物が茂っていた方が保湿力が高いと実感する。バンブルビーが巣を作りやすい場所も確保できる。
最後に、畑のそこかしこに花を植えるのは続けている。畑にホースで水をやったり、草取りをしているときなど、バンブルビーやハミングバードなどの羽音が聞こえてくるのが気持ちを明るくしてくれるからだ。食べ物を作るといっても、売ってお金を得る為では無くて自家用だから、やっぱり作業が楽しくないと続けられないものね。
畑からの帰り道にも、実はりんご、富有柿、イチジク、マルベリーなどの果樹が植わっていて、だんだんこの道も鬱蒼としてくるかなあと期待している。