今日は地元で一番大きなダンカンの土曜ファーマーズマーケットへ出向いた。知り合いと世間話もできて楽しかった。だけど、春野菜の季節前のマーケットでは、出店しているファーマーが少なくて、どちらかというとお土産屋さんや食べ物屋台が目立った。
トマトやズッキーニなどの夏野菜の時期には、ここのファーマーズマーケットは、人でごった返す。客足も多いが、ブースを出すファーマーの数も多い。
それが、夏野菜が終って、葉物や根菜中心の時期になると、ファーマーのブースは少し減る。そして冬になると、ファーマーは、セラーに保存してある野菜が尽きた順にさらにマーケットから姿を消す様だ。マーケットに残っているファーマーのブースでも、この時期はそれほど売れ行きが良い訳ではなさそうだ。
なぜこのマーケットで冬を通してたくさんのファーマーが野菜を販売し続けてくれないのか。
マーケットで出店する地元の農家のほとんどは小規模で、温室での野菜栽培は利益を出すのが難しくて普通やらないらしい。それでも、冬にマーケットで売る野菜をもっと充実させることは、農家の側からすると可能なはずだ。冬に出店を続けないのは、消費者の方が買いに来なくなるからだと思う。聞き及ぶ話をつなげると、そう推測される。
環境コンシャスな住民が多いカウチンバレーでは、カナダの一般的な町でよりは、できるだけいつも地元の農産物を買いたいと考える消費者が多いと思う。それでも、多くの消費者は、夏の一時期だけ、「特別に甘いイチゴを買おう」、また「特別に美味しいトマトを買おう」と思ってマーケットを思い出すだけなのではないか。
秋になって、葉物中心の時期になったときに、食生活をそれに合わせるのではなくて、遠くから運ばれてきた野菜をスーパーマーケットで買って、年中同じような種類の野菜を食べるのが、この地でもやはり一般的な行動みたいだ。
もっと寒くなってくると、その時期に強い白菜、ネギ類、大根などの消費が増えるのであれば、地元農家もそれらを冬に収穫できるように栽培するのだろうが、消費を栽培の都合に合わせてくれる消費者はあまり多くないようだ。こういったアジアの野菜は、今でも限られた人が食べるだけみたいだ。
さらに、春に近づいてくると、例えばネギ類でも、地元で外の畑にあるのは、味は良くても見かけがベストではなくなってくる。根菜でも冬を越して今掘り出しても大丈夫なものもいろいろあろう(カブ、ニンジン、パースニップなど)が、美味しくても見かけは少しハリが欠ける。セラーで保存できる野菜(カボチャ、キャベツ、ビーツ、ジャガイモなど)も、この時期見かけはベストでは無い。また、フキやスティンギングネトルのような山野菜や、もうそろそろ出てくる菜の花などは、誰もが食べるものではない。
やはり、一般的な消費者は、今の時期に地元の農家が用意できるこれらを食べるよりも、遠くから運ばれてきたものをスーパーで買うように習慣づけられているのだ。
こんな消費者側の事情で、一年中マーケットに立つファーマーが少ないのだと思う。
マーケットで買えるローカルの農産品が冬の間は豊富でなくなるので、地元で生産された野菜を中心に一年中食事をしようとすると、やはり自分の畑で作ることになる。
それにしても、マーケットで買ってきたサワードーのバゲットが美味しい。このダンカンのマーケットでだけ販売しているパン職人さんで、今日も行列ができていた。