映画 The Biggest Little Farm を見て
カナダのネットフリックスで昨日何の気なしに見始めた表題の映画が、新しい見方に気づかせてくれた。これまで、山火事で近隣が焼きつくされてしまったら、もうここには住めなくなると思い込んでいたが、焼け跡を今とは違う発想で復活させるのも、それはそれでやり甲斐があるのではないかと思ったのだ。
今うちの家族は、森の端に入り込んで生活している。森の環境を維持しつつ、さらに生物多様性を増すのがうちのアプローチの基本で、以下のようなことを目指している。
- 林冠を閉じかつ地面を森の下草に覆わせることで、夏には土の乾燥を防いで微生物の活動を保ち、雨期には土の浸食を防ぐ
- 落ち葉、枯れ木や下草の枯れ枝などに土を改善させ、雨水を浸透させて地中に保持する
- 開かれた場所には多種類の果樹や花木や草花を植え、畑を作って、昆虫などの生物活動を促す
- 単一のイネ科の植物に覆われた湿地には、池を導入して生物体系を複雑化させ、また水の流出をスローダウンする
これらを通じて、土を改善し、水やバンブルビーなどの受粉者も豊富にして、家族や友人が楽しむためのいくばくかの食べ物や社会活動のバザーに出す鉢植え植物を生産しようとしている。
このアプローチだけを考えていると、火事で森が燃えると、復活させるのには少なくとも数十年の年月がかかるだろう。
しかし、ジョンとモリ―の夫婦が、失敗や学びを繰り返しながら、劣化した土地を緑豊かな農場にしてゆく8年のドキュメンタリーを見て思った。我々も、ここが火事で焼けてしまったら、生物多様性をベースにした小さな農場として復活させる目標に切り替えれば、またひと頑張りできるのかも知れない。
少し、家や森が火事で焼けてしまう状況をイメージをしてみよう。もし山火事となれば、まずは家族と一緒に逃げることが何よりも大事だが、それ自体は難しくないだろう。その後で、ここを復活させる最初のステップは、池を今よりはるかに大きなものとすることだと思う。土地の一番上と一番下の大きな池が、夏の間に畑を灌漑し、かつ様々な生物を育むようにする。同じくすぐにやらなければならないことは、裸になった土地をグランドカバー植物に覆わせ、雨による斜面の浸食を防ぐことだ。それから、果樹や畑を育ててゆく過程で、羊、鶏、アヒルなど様々な動物に土づくりの役割を担ってもらうことになるだろう。(今のうちのアプローチでは、羊も鶏も、森の下草を食べてしまうため、システムにフィットしない。)
こんな新しい目標に向かう生活も、面白いかも知れない。