メープルマウンテン日記

メープルマウンテン日記

森のガーデニング、食べ物の栽培・採集やバンクーバー島での田舎生活など。

リメンブランス・デーと移民

カナダではイギリス同様、今日が戦没者追悼の日で胸にポピーをつける。昨日、ドン・チェリーというアイスホッケー解説者が、移民がポピーを付けないという不平を当人らしい強い口調でテレビで披露し、物議を醸していた。

ドンチェリーの言葉遣いは、ビジブル・マイノリティ批判を想起させるもので、国をディバイドするタイプの不適切なものだったろう。でも考えさせられたことはあった。

まず、新しい移民として、私自身は確かにカナダの歴史やその共通の価値観について不勉強だなと思う。第一次大戦でカナダ人の戦没者がどれくらいいたのかすら覚えていない。自分はカナダ市民では無いが、子供たちはカナダで育ち、上の子は日本の歴史よりカナダの歴史をよっぽどよく知っている。下の子に至っては、日本語の読み書きすら勉強できていない。私はカナダの日々のニュースについては、比較的普通のカナダ人のように追っていると思うが、もう少しこの国の共有する歴史や価値観を理解すべきだ。

それから、自分は日系移民に対するシンパシーが高いのだなと改めて思った。私はポピーは手元にあったり街頭で2ドルで売っていれば喜んでつけるが、思い至るのは第一次世界大戦でカナダ軍の一員として戦った日系移民たちだ。西海岸では、そういった日系人でも、次の大戦のときには、キャンプへ僅かな手荷物だけで送られ、所有する家やビジネスは安く競売にかけられてしまった。そういった不正義や困難に出会った日系人の歴史やそれを乗り越えて今を築いている人たちへの尊敬が、ポピーをつけたときに私の頭によぎる。一般のカナダ人の人たちがポピーから思い起こすのとは少し違う思いだ。

いずれ子どもたちが受けるだろうカナダ市民権審査時のテストの問題例というのを見たことがある。私自身にとっては、カナダの歴史を改めて勉強しないと受からないなというレベルだった。私は日本の国籍を保持したいので、カナダ市民権を申請することはないだろうが、カナダは子供たちが育つ場所で、気持ちの上では私にとって日本と並ぶもう一つの母国だ。私はポピーは喜んでつけるし、カナダの歴史ももう少し勉強しておきたい。同時に、カナダで例えば日本の皇室の明るいニュースやノーベル賞報道を見ると嬉しいし、二つの好きな母国を持てて幸せだ。

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お隣の池で遊ぶテテとキナ