メープルマウンテン日記

メープルマウンテン日記

森のガーデニング、食べ物の栽培・採集やバンクーバー島での田舎生活など。

庭や畑のマルチ

ここに住み着いて、最初の2、3年は、家に手を入れるのに忙しかった。プロの大工さん、電気屋さん、水道屋さんにもいくつも仕事をしていただいたが、勉強しながら自分でもいろいろなことをした。下の階にゲストルームを作ったり、キッチンキャビネットや家具を作ったり、内装をしたり、倒れた木からそれらで使う材料を製材して、そこでは学んだことがたくさんあった。

その後は、敷地を使えるようにしたり、庭を作ったり、食べ物を栽培できるようにしたりといった外の作業をたくさんしてきている。今思えば、水のありかや流れを把握することと、その一部に変更を加えることが出発点だった。

もし日本で同じことをやっていたら、どんな違いがあるのだろうか。そんなことを何とはなしによく考える。このブログの主な動機は、この山に住むことを急に放棄せざるを得なくなったような場合にメモリーとすることだが、それに加え、日本との違いをことばにしてみるのが面白くて書いているところもあるように思う。細かいことを考えるだけなので、大袈裟かもしれないが。

 

さて、バークマルチをトラックで一山ダンプしてもらい、昨日も使用したわけだが、そのときにも少し「日本にいた時とは違うよな」ということを考えた。今日は風邪で恐らく一日ベッドから出られないので、書いてみよう。

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バークマルチ。メープルとアルダーの樹皮やそれに近い部分をグラインドし、ある程度堆肥化したもの。私は、家具向けの製材所を営むポールさんから買う。

日本にいたときは、ガーデンや菜園のマルチでよく見かけるのは、ワラ、もみ殻、ポリマルチだったと思う。作物や花を霜から守ったり、雑草を抑えたり、土壌改善や乾燥防止に使うわけだが、作物や地方によりそのニュアンスが違うのだろう。

今住んでいるカナダ西海岸の島では、マルチは圧倒的に夏の乾燥から植物を守るためのもので、その他の効果は副次的なものでしかない。夏の乾燥は厳しいため、その使用量は、日本の感覚からすると随分多いと思う。友人のスーザンさんは、家の表と裏の夢のように美しいフラワーガーデン(お一人でマネージする規模)で、一年に8立方メートルのバークマルチを使うとおっしゃる。それに加えて、たくさんの草や枯葉を堆肥化して使っていらっしゃる。

使われる素材としては、バークマルチと牛・鶏糞堆肥が圧倒的だと思う。それに加えて、自分の家でキッチンや庭からの材料で堆肥を作るのも盛んだ。カナダの西海岸では、穀物生産はトウモロコシ程度なので、ワラ類似のマルチ材は売られているのを見ない。また、毎年、場合によっては一年のうちに複数回マルチ材を入れる人がいる中、それを難しくしてしまうポリマルチはマルチ目的ではほとんど使われない。以前、この農業が盛んな地において、ポリマルチがどこの資材店でも売っていないのを発見し、驚いたものだ。でも、今はその理由がわかる。

林業が今でもかなりの存在感を持つカウチンバレーでは、バークマルチは安価に手に入りやすい。牛糞も簡単に手に入るのだが、バークマルチはデリバリーを含めても一立方メートルあたり2000円程度なのに対し、牛糞堆肥はその倍くらいするだろうか。バークマルチは窒素などの栄養素が低いので、畑の土の構成成分として買う場合はやはり牛糞になるが、マルチカバーには、バークマルチが使われることが多い。

 

夏の乾燥は、ここでの様々な産業、インフラ、生活スタイルなどに大きな影響を与えているが、漠然と、蚊がほとんどいないのも夏の乾燥のせいなのかなと思っていた。水たまりが乾期になくなると、蚊が育つ場所がないのかと。島のここより北のコモックスバレーの一部では、近年蚊の大発生に悩まされているらしい。専門家が、蚊が大発生している場所ではコウモリの数が少ないという相関性を調査結果として述べていた。コウモリの巣箱(どういうものだろうか?)の設置を蚊の問題の解決策として提言しているようだ。夏の乾燥の為に蚊が少ない、という単純なものでもないようだ。