メープルマウンテン日記

メープルマウンテン日記

森のガーデニング、食べ物の栽培・採集やバンクーバー島での田舎生活など。

リンゴの木とご近所さん

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向かいで製材所を営むスミスさんの家のリンゴ。収穫直後はクリスプかつジューシーで、品種にこだわってスーパーで買うものよりずっと美味しい。


ここへ引っ越してから、数十本の果樹を植えた。リンゴはその初めだったのだけれど、今になって一番出遅れているのもリンゴの木々だ。

まず、シカとクマの被害をよく理解していなかった。最初の頃、収穫しやすいからとナーサリーですすめられて、低木にとどまるタイプを植えたが、鹿の食害を避けられる大きさにならないことに気づき、掘り起こして友人にあげることになった。今思うと何を考えていたやらだ。その後の木々も、鹿が届かない高さまで育ったと思ったところで、木の上の方で熟しているリンゴを収穫しなかったら、私の背丈の棒一本になるまでクマに破壊された。今のようにクマ対策に犬の活用もしていなかった。

リンゴの木々を植えた場所も、腰が据わっていなかった。それには、食べ物として、リンゴよりもチェリー、イチジク、梨、プラムやマルベリーの方が好きだったということが大きい。もぎたてのリンゴの美味しさを知らなかったのだ。それ以外にも、リンゴの木はたくさんの水を必要とするから、気候変動にも逆行すると思い、果樹エリアを3つ作ったときに良いスポットを与えなかった。また湿地に見出した良い果樹スポットには梨(二十世紀などの日本の梨で、ここらでは冬の湿った土に強いとされる)の方が適性があると考えた。

そんなことで、今ある5本のリンゴの木はさえない。2本は、ほぼ花木扱いで、陽当たりも無いので、フルーツは期待できない。別の2本は、ましな場所にあるが、クラブアップルとの混合種で、水は必要ないが実は小さく、とても美味しいものの、お菓子を作る上の娘からは処理の手間がかかり過ぎると評判が悪い。最後のもう一本は、2回の引っ越しを経た今、野菜畑拡張のため再度引っ越しが必要だ。

引っ越し先として、これまで考えなかった場所はどうかと思い立った。お隣との境で、メープルの老木を2本倒さざるを得なかったので、大きな空き地がぽっかりと空いた。中規模になる花木を既に6本(マロニエ、2種類のニセアカシア、桜など)植えてあるが、切り開かれたお隣さんの方から午後の陽ざしがたっぷり入る良いスポットが一つだけ偶然まだ空いている。お隣さんの家をのぞける場所へ、果樹を植えて世話や収穫にゆくのも気が引けるなと思っていたのだが、2年前に越していらっしゃった電気屋さんと看護婦さんのカップルでいらっしゃるお隣さんとは、親しくしているので、アイデアについて聞いてみた。

「引っ越しの必要なリンゴの木があるのですが、ここに植えてもよいでしょうか。」

「お好きなようにしてください。」

「リンゴの木は、成熟しても収穫しないでほっておくと、クマを呼びます。」

「うちの子ども達のことを心配していただいてるのですね。一番奥のあなたのところでは、いつもクマが現れると聞きますが、うちには来たことがないのです。クマの心配はしていません。」

「それでは、ここにリンゴを植えて、実ったら、一緒に収穫しましょう。」

「それは良い考えですね。ぜひそうしましょう。」

 

クマの対策や、 山火事の対策などは、一つの家庭ではなくて、近隣で協力することが大事だ。我々の袋小路には、4つの家族と、二つの山林オーナー(そのうち一つは町役場)がいる。この7年半で、コミュニケーションが良くなってきていると思う。